2020.10.6(mon)

銀河鉄道の夜2020 セッティング

海沼さんブログに触発されて書いてみます。

 

音楽監督中西俊博さんのコンセプトは、

"どこの国か、いつの時代かわからないような音楽"

あと、海沼さんもブログで書かれているけど、

"なんの楽器が鳴っているかわからないような音"

宮沢賢治の描いた幻想空間ってこともあり、

(友達も言ってたけど、100年以上前にファンタジーや理想郷を想像していたってかなり変わった人かも。)

 そのあたりはかなり工夫が必要だった部分だと思います。

ギターは自由な位置にいることが多くて
(譜面の音符を弾くことが少なく
稽古中にほぼ暗譜、本番は台本を見ながら演奏。)

その分空間作り、色彩、心情の変化を出すのに

重心が大きかったように思います。

各エフェクターと小道具に焦点を当てて書いてみます。

 

 ◉使用エフェクター

ZOOM G1X FOUR

Roland EXP Pedal

EHX EXP Pedal

Digitech Whammy pedal

Empress Comp

Z.vex fuzz

Boss SD-2

Proco RAT

Boss OC-3

Boss DD-5

Boss LS-2

Alesis Bitrman

Moog MF-102

Bogner Harlow comp

EHX Freeze

Line6 Echo Park

Volume pedal(F.sugar custom)

Strymon timeline

Red Panda reverb

Line6 M5

Line6 DL-4

(その他ボトルネック、E-bow、泡立て器)

 

 ◉Digitech Whammy pedal

音程を曲線的に変えるペダル、ワーミーはかなり要めになりました。

幻想的サウンドからアホな音まで。

随所の"星めぐりの歌"の天の川のようなサウンド、

"おかしな男"の鳥捕り(有川マコトさん)の座る時や押し葉にする時のアホな効果音。

”石炭袋”闇に吸い込まれそうなイントロ(歪み、ディレイと共に)。

ケンジ(岡田義徳さん)の終盤の”銀河”のセリフのすぐ後。

 

◉Proco RAT

ディストーション、メインの歪み。

この歪みのエッジ感は今のところこれしか出ません。普段は歪みはこれしか使いません。

"Opening"、"銀河ステーション"、”天照らす”、"タイタニック沈没"、”石炭袋”イントロ、”手足”。

 

◉EHX Freeze

踏んだ時の音を凍らせて永遠に伸びる音を作るペダル。

使ったのは一箇所ですが、とても重要なシーン。

"手足"の前半、死んだカムパネルラ(佐藤寛太さん)が浮かび上がるところ。

この無機的な音は"死"にイメージが重なった。

 

◉Strymon timeline

ディレイ。2オクターブ上の音が重なった幻想的なディレイ。今回の全編通して要めのサウンド。

右足はこれのレベル調整のEXP Pedalが定位置。

至るところで登場してます。

ブワ〜と空間を広げたい時には右足をクイっと。

個人的にツボは

"プリオシン海岸"の作業員(伊藤壮太郎さん、黒田勇さん、山口将太朗さん)のツルハシを振り落とす音。

弦を重ねた音でパーカッションみたいな音を出し、それにこのディレイが少しかかってます。

それを◉DL-4のルーパーで録って逆再生もしてます。

 

◉Boss DD-5

ディレイ。

手で操作出来る位置にセッティングして、独自のフィードバックをするよう設定。

これとAlesis Bitrmanのセッティングは

大尊敬のノルウェーのギタリストEivind Aarsetさんの影響。

随所の"星めぐりの歌"

 

◉Alesis Bitrman

極悪フィルター系その1。

”おかしな男”の鳥捕り(有川マコトさん)の雁をひきちぎる音。

左手で演奏して、右手でツマミを動かします。かなりアホな音です。

鳥捕りを象徴する音になった気がします。

 

◉泡立て器

鳥捕りの登場シーン、泡立て器で弦を擦ってます。

 

◉Volume pedal(F.sugar custom)

左足はボリュームペダルの上が定位置。

今回は音の切り方がシビアだったので、

いつもより後ろの位置にボリュームペダルをセッティング。

今回相当細かい動きをしてるのか、左足ふくらはぎが筋肉痛に。


◉Z.vex fuzz

ファズは空気が破れるとか、混沌とか、そういうイメージ。

"活版所"、"ラッコの上着"のジョバンニ(木村達成さん)が暴れるシーン。

 

◉Boss OC-3

オクターバー。一オクターブ低い音が重なります。

"タイタニック沈没"ヴァイオリン柴田奈穂さんと共に船が沈む轟音。

"プリオシン海岸"の大きい和紙を持ってくる音。弦を擦りながら。

 

◉MOOG MF-102

極悪フィルター系その2

一箇所のみ、”銀河ステーション”のイントロのギュイーンって音です。

レンジやスイッチなど、よく出来てるペダルです。

手で操作もしやすいですが、今回EXP Pedalで操作してます。

 

◉E-bow

小道具。Electric bow(電気弓)。弦に近ずけると弦が永遠に振動します。

音の出し方によっては冷たい音で、死とかのイメージとつながったのかも。

ザネリ(宮崎秋人さん)が川に落ちるシーンなど。

 

◉ZOOM G1X FOUR

"星まつりの歌"のアコースティックギターシミュレーターで使用。

チャキチャキしたカッティングの音。

既にゲネ後か公演始まってたかのタイミングで急遽、中西さんの要望で追加。

これを加えるとセッティングが180°超え!で焦りましたが、入れてみてなるほど〜と勉強になりました。

 

◉line6 Echo Park

ディレイ。"イーハトーブ"サビの付点16分ディレイ。

音がちょっとザラッとなって、明滅するような表現に合う時も。("ジョバンニのミルク"イントロなど。)

その他、オーソドックスなディレイとして。

 

◉Boss SD-2

オーバードライブとして使用。RATはガラッと世界が変わるので、クリーンの延長で鳴らしたい時にはこの人。

"イーハトーブ"のラスト、”ジョバンニのミルク”の後半、"銀河ステーション"(Ratと共に)、etc

 

◉Line6 M5

一箇所のみ。"活版所"のBメロのジャーンっていう音のジリジリジリっていうリングモジュレーター。

リングモジュレーター3台(Alesis,Moog,M5)はなんだかおかしいけど、それぞれのキャラが必要だった。

(マルチで再現可能か!?)

 

◉Red Panda Reberb

リバーブ。かけっぱなし。今回は少なめ。音に奥行きと力が出て好きなペダル。

 

◉Comp(Empress,Bogner)

原音補正、ボリューム奏法の助っ人として。

コンプも今回なくてはならない存在でした。

結構かけっぱなしが多かったかもしれません。

 

という感じです。

海沼さんはブログで書かれてましたが、

他の方々のシステムも同様かそれ以上に工夫があります。

新澤健一郎さん(key,バンマス)の指揮しながら瞬時に音色切り替えてテンポ出すとか、

柴田奈穂さん(vl)の水晶の音(コンコン転がるような音はヴァイオリン!)、

小夜子さん(vl)の随所に出てくる透き通るサステイン、

木村将之(ベース)のチェロのような高い音域で取るメロディ、などなど。

その辺りもまた皆さんに聞いてみたいところです。

ではまた再演の時に。。