海沼さんブログに触発されて書いてみます。
音楽監督中西俊博さんのコンセプトは、
"どこの国か、いつの時代かわからないような音楽"
あと、海沼さんもブログで書かれているけど、
"なんの楽器が鳴っているかわからないような音"
宮沢賢治の描いた幻想空間ってこともあり、
(友達も言ってたけど、100年以上前にファンタジーや理想郷を想像していたってかなり変わった人かも。)
そのあたりはかなり工夫が必要だった部分だと思います。
ギターは自由な位置にいることが多くて
(譜面の音符を弾くことが少なく稽古中にほぼ暗譜、本番は台本を見ながら演奏。)
その分空間作り、色彩、心情の変化を出すのに
重心が大きかったように思います。
各エフェクターと小道具に焦点を当てて書いてみます。
◉使用エフェクター
ZOOM G1X FOUR
Roland EXP Pedal
EHX EXP Pedal
Digitech Whammy pedal
Empress Comp
Z.vex fuzz
Boss SD-2
Proco RAT
Boss OC-3
Boss DD-5
Boss LS-2
Alesis Bitrman
Moog MF-102
Bogner Harlow comp
EHX Freeze
Line6 Echo Park
Volume pedal(F.sugar custom)
Strymon timeline
Red Panda reverb
Line6 M5
Line6 DL-4
(その他ボトルネック、E-bow、泡立て器)
◉Digitech Whammy pedal
音程を曲線的に変えるペダル、ワーミーはかなり要めになりました。
幻想的サウンドからアホな音まで。
随所の"星めぐりの歌"の天の川のようなサウンド、
"おかしな男"の鳥捕り(有川マコトさん)の座る時や押し葉にする時のアホな効果音。
”石炭袋”闇に吸い込まれそうなイントロ(歪み、ディレイと共に)。
ケンジ(岡田義徳さん)の終盤の”銀河”のセリフのすぐ後。
◉Proco RAT
ディストーション、メインの歪み。
この歪みのエッジ感は今のところこれしか出ません。普段は歪みはこれしか使いません。
"Opening"、"銀河ステーション"、”天照らす”、"タイタニック沈没"、”石炭袋”イントロ、”手足”。
◉EHX Freeze
踏んだ時の音を凍らせて永遠に伸びる音を作るペダル。
使ったのは一箇所ですが、とても重要なシーン。
"手足"の前半、死んだカムパネルラ(佐藤寛太さん)が浮かび上がるところ。
この無機的な音は"死"にイメージが重なった。
◉Strymon timeline
ディレイ。2オクターブ上の音が重なった幻想的なディレイ。今回の全編通して要めのサウンド。
右足はこれのレベル調整のEXP Pedalが定位置。
至るところで登場してます。
ブワ〜と空間を広げたい時には右足をクイっと。
個人的にツボは
"プリオシン海岸"の作業員(伊藤壮太郎さん、黒田勇さん、山口将太朗さん)のツルハシを振り落とす音。
弦を重ねた音でパーカッションみたいな音を出し、それにこのディレイが少しかかってます。
それを◉DL-4のルーパーで録って逆再生もしてます。
◉Boss DD-5
ディレイ。
手で操作出来る位置にセッティングして、独自のフィードバックをするよう設定。
これとAlesis Bitrmanのセッティングは
大尊敬のノルウェーのギタリストEivind Aarsetさんの影響。
随所の"星めぐりの歌"
◉Alesis Bitrman
極悪フィルター系その1。
”おかしな男”の鳥捕り(有川マコトさん)の雁をひきちぎる音。
左手で演奏して、右手でツマミを動かします。かなりアホな音です。
鳥捕りを象徴する音になった気がします。
◉泡立て器
鳥捕りの登場シーン、泡立て器で弦を擦ってます。
◉Volume pedal(F.sugar custom)
左足はボリュームペダルの上が定位置。
今回は音の切り方がシビアだったので、
いつもより後ろの位置にボリュームペダルをセッティング。
今回相当細かい動きをしてるのか、左足ふくらはぎが筋肉痛に。
◉Z.vex fuzz
ファズは空気が破れるとか、混沌とか、そういうイメージ。
"活版所"、"ラッコの上着"のジョバンニ(木村達成さん)が暴れるシーン。
◉Boss OC-3
オクターバー。一オクターブ低い音が重なります。
"タイタニック沈没"ヴァイオリン柴田奈穂さんと共に船が沈む轟音。
"プリオシン海岸"の大きい和紙を持ってくる音。弦を擦りながら。
◉MOOG MF-102
極悪フィルター系その2
一箇所のみ、”銀河ステーション”のイントロのギュイーンって音です。
レンジやスイッチなど、よく出来てるペダルです。
手で操作もしやすいですが、今回EXP Pedalで操作してます。
◉E-bow
小道具。Electric bow(電気弓)。弦に近ずけると弦が永遠に振動します。
音の出し方によっては冷たい音で、死とかのイメージとつながったのかも。
ザネリ(宮崎秋人さん)が川に落ちるシーンなど。
◉ZOOM G1X FOUR
"星まつりの歌"のアコースティックギターシミュレーターで使用。
チャキチャキしたカッティングの音。
既にゲネ後か公演始まってたかのタイミングで急遽、中西さんの要望で追加。
これを加えるとセッティングが180°超え!で焦りましたが、入れてみてなるほど〜と勉強になりました。
◉line6 Echo Park
ディレイ。"イーハトーブ"サビの付点16分ディレイ。
音がちょっとザラッとなって、明滅するような表現に合う時も。("ジョバンニのミルク"イントロなど。)
その他、オーソドックスなディレイとして。
◉Boss SD-2
オーバードライブとして使用。RATはガラッと世界が変わるので、クリーンの延長で鳴らしたい時にはこの人。
"イーハトーブ"のラスト、”ジョバンニのミルク”の後半、"銀河ステーション"(Ratと共に)、etc
◉Line6 M5
一箇所のみ。"活版所"のBメロのジャーンっていう音のジリジリジリっていうリングモジュレーター。
リングモジュレーター3台(Alesis,Moog,M5)はなんだかおかしいけど、それぞれのキャラが必要だった。
(マルチで再現可能か!?)
◉Red Panda Reberb
リバーブ。かけっぱなし。今回は少なめ。音に奥行きと力が出て好きなペダル。
◉Comp(Empress,Bogner)
原音補正、ボリューム奏法の助っ人として。
コンプも今回なくてはならない存在でした。
結構かけっぱなしが多かったかもしれません。
という感じです。
海沼さんはブログで書かれてましたが、
他の方々のシステムも同様かそれ以上に工夫があります。
新澤健一郎さん(key,バンマス)の指揮しながら瞬時に音色切り替えてテンポ出すとか、
柴田奈穂さん(vl)の水晶の音(コンコン転がるような音はヴァイオリン!)、
小夜子さん(vl)の随所に出てくる透き通るサステイン、
木村将之(ベース)のチェロのような高い音域で取るメロディ、などなど。
その辺りもまた皆さんに聞いてみたいところです。
ではまた再演の時に。。